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トータル人事制度の導入(1)

  

 今回より、人事考課制度について、詳述する予定でしたが、中途半端に制度改定作業について書くのではなく、トータルに人事制度を作成・改定する場合の全ステップについて、連続して書いてみたいと思います。
 小生の軽妙洒脱なエッセイ風トークを期待されている方には申し訳ありませんが、しばらくの間、社労士及び人事担当者向けの実務講座の趣きとなります。

   

   

◆トータル人事制度の導入
 年功的かつ、非系統的である人事制度を改め、トータル人事制度を導入する企業が増えています。
 中小企業で初めて人事制度を検討する際も、トータルな整合性を持った制度を導入することが成功のカギとなります。
 (トータルの要素は各会社の実態にもよりますが、基本的には、人事考課制度・賃金制度・退職金制度・教育訓練制度等を含み、付随して就業規則・賃金規則等の各規則の作成・改定を行います。)

   

   
 人事制度に関する資料は世の中に溢れていますが、実際に、社労士が人事コンサルタントとして、トータル人事制度導入のための作業を行うためのテキストはあまり見かけません。当然、メシの種であるからなのと、ニッチの分野なので出版等にいたらないからでしょう。

   

   
 そこで、社会保険労務士高橋コンサルタント事務所の業務として蓄積したトータル人事制度導入ノウハウをここで公開・解説いたします。
 以下、現在進行中の事例を踏まえつつ、トータル人事制度導入のステップ(社労士版)をご紹介いたします。完成時には、人事コンサルタント実務入門講座として使用できます。
    

   
 なお、個別コンサルタントをご希望の会社様は、ご遠慮なくご連絡ください。

    

『トータル人事制度導入の全ステップ(前半)』
1・経営者ヒヤリング
2・トータル人事制度基本方針提案書作成
 (人事制度の方向性設定)
3・人事データ収集
 (賃金台帳、労働者名簿、就業規則他諸規定、組織図)
4・トータル人事制度概要提案書作成
 (各制度の構成要素・基本方針決定) 
5・賃金制度設計
6・人事考課制度設計
7・人事考課・賃金制度まとめ

    

以下、上記項目の解説を進めていきます。

   
1・経営者ヒヤリング

 実際には、社労士の1番最初の業務としては、新規の営業、または顧客からのニーズの掘り起こしという作業が必要になります。突然、見ず知らずの顧客から人事制度のオーダーがくることはありえません。スポット業務や顧問業務の積み重ねの上に、人事制度全般の検討をご依頼いただくという流れになります。もちろん、日ごろのおつきあいの中で、営業努力としての働きかけはしますが、ここでは、顧客からの依頼を前提に解説いたします。

     

 なお、就業規則作成・改定からおつきあいの始まった顧客では、経営者及び社員へのヒヤリング、会社規則等の確認は済んでいます。それを含めて、第一段階は情報収集・経営者の意向を確認するという作業になります。

       

 ここでのポイントは、経営者がどの程度、業績主義への移行を望んでいるかということです。
 その状態は、以下の5段階程度に区別できます。
(1)初めて人事制度を導入するので、一般的な年功的なものでよい
(2)一般的な年功的なものでよいが、今日的な人事制度として整備されたものがよい
(3)年功的なものでよいが、多少業績主義の部分も盛り込みたい
(4)年功色は多少残したいが、かなり業績主義の色を濃くしたい
(5)年功色を廃して、完全業績主義のものにしたい

    
 ほとんどの中小企業の現状では、(3)~(4)で対応できますが、(1)~(2)のニーズもまだあります。なかには、(1)~(2)が適切であると思われる会社であっても、恐らく社長の見栄と先走りで(4)~(5)のような要望を頂く場合もあります。
 その場合は、会社の現状に比べて過剰に先進的なものになり、導入後の運用で頓挫する可能性が高いので、会社の現状をしっかり見極めてアドバイスすることが必要です。ここで大まかに区別したことによって、人事考課・賃金制度の構成が大きく変わってきます。

    

 なお、一般職と管理職、営業職とその他等、社内でも階層・職種別に多少段階を変えることも可能ですが、管理が煩雑になりますので、中小企業特に製造業ではお薦めしません。

        

 以下、経営者ヒヤリングの質問シートの要素となります。

『経営者ヒヤリング』
・制度改訂の趣旨は、目指すものは? どんな制度にしたいか?
・人事制度全体のトータル設計にするか? 部分改定にするか?
・いつまでに完成させるか?
・どんな賃金制度にしたいか?
・賞与は賃金とは別の業績主義にするか?
・賞与原資の配分のイメージは?(一律月数、査定反映)
・退職金制度は維持するか?
・維持するならば、どんな退職金制度にしたいか?
 (在職中の貢献度をどの程度反映させるか?)
・退職金の最高支給金額のイメージは?
 (高校新卒勤続41年の上級管理職経験者が60歳で定年退職する場合の金額)
・退職金外部資金の準備方法は?(適格退職年金、中退共、生命保険等)
・従業員数は?(正社員・パート) 新制度適用人数は?
・昨年の労働分配率は?(控除方式)

   

  
 また、就業規則作成・改定作業が先行している場合は、以下の確認・ヒヤリングもしておきます。

   
1)既存の就業規則があれば、もらう。
2)36協定は提出済みか? その他、労務関係手続きは?
3)社労士とは契約しているか? 今までのアドバイスの内容は?
4)今回、なぜ、就業規則の作成・改訂を検討しているのか?
5)経営理念(に類するもの)があるか、ないか? 
  ないなら、どんなものがよいか、口頭で聴く。
  ・今後、どんな会社にしたいですか?(単語で5つくらい、以下参照)  
  【明るい まじめ フランク(気さく) フェア(公正) 厳しい 儲かる 一致団結 折り目正しい 規律ある 静かな 誠実な 活気のある 上品な たくましい】
   ⇒そんな会社にするためには何が必要ですか? 現在足りないものは?
6)どんな経営者になりたいか?
7)どんな社員と働きたいか? 
8)社員をどう処遇してあげたいか?
9)どんな社員は許せないか?
10)社員データがあるか(組織図・労働者名簿・賃金台帳・人事考課シート類)
11)どんな就業規則にしたいか?
12)現在の労働時間の管理は? (タイムカード・出勤簿・その他)
13)労働時間の集計は? している・していない
14)時間外手当は?   発生している・発生していない
15)賃金の固定分と変動分の理想の割合のイメージは?(給料の何%が勤続年数や役職などで決まり、何%が仕事の成果への評価で決まるのが理想かを、5%刻みで記入。例・固定65%:変動35%)
   固定    %:変動    %

   
 同時に、社員に対して、賃金・評価に対するアンケート調査も行います。現在の制度を社員がどう受け止めているか、評価のポイントをどこに置いてほしいか、要望点などを聞くものです。
(社員への依頼書、およびアンケート調査用紙は省略)

   
以下、次号。

   

※本日の運動と食事

ウオーキング1時間。

朝食:トースト、ハムエッグ、野菜ジュース、コーヒー、サプリメント
昼食:ヨーグルト
夕食:カレーライス、キャベツ、ぬか漬け・キムチ、みそ汁(我が家の夕食は、寄せ鍋の翌日は残ったスープを使って、カレーを作ることが定番に。複雑な味でおいしいという意見とカレーの味がぐちゃぐちゃだという意見と。カレーにシラタキが入ってるのは不思議ではあります。)

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