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トータル人事制度の導入(2)

2・トータル人事制度基本方針提案書作成(人事制度の方向性設定)その1

     

前回の経営者インタビューの回答内容を検討して、
人事制度の方向性を設定します。
中心となるのは賃金制度と人事考課制度です。

     

まず、賃金制度をどの程度、業績主義にするか。
一番の目安となるのは、次の質問への回答です。

      

賃金の固定分と変動分の理想の割合のイメージは?
(給料の何%が勤続年数や役職などで決まり、
何%が仕事の成果への評価で決まるのが理想かを、
5%刻みで記入。例・固定65%:変動35%)

     

経営者の回答は、固定60%、変動40%というあたりが平均的です。
対して、従業員の回答は、固定70%、変動30%程度が平均になります。

     

※経営者インタビューの次に実施する、
 従業員に対する賃金意識調査の質問項目

     

1)賃金を決定するときに、何を重視してほしいですか?(ひとつだけ○)
1.年齢や勤続年数   
2.職務職種など仕事の内容   
3.職務遂行能力
4.業績・成果     
5.学歴      
6.その他(              )

     

2)賃金には、固定部分である年功的要素(勤続年数や年齢)と職能的要素(役職や仕事の内容)と、変動部分である業績的要素(仕事の成果)があります。現在の賃金のバランスをどう思いますか?
1.固定部分が多すぎる 
2.変動部分が多すぎる 
3.バランスはよい 
4.どちらともいえない

    

3)固定分と変動分の理想の割合のイメージは?
(給料の何%が勤続年数や役職などで決まり、
何%が仕事の成果への評価で決まるのが理想かを、
5%刻みで記入してください。例・固定65%:変動35%)
固定    %:変動    %

    

4)自分の賃金の決定(人事考課)に納得していますか?(5段階で数字に○を付けてください)
 納得している 5 : 4 : 3 : 2 : 1 していない

    

5)納得していない理由は何ですか?(複数の○も可)
1.自分の業績が評価されていない        
2.仕事への努力が評価されていない 
3.自分の能力が評価されていない        
4.同世代の社員と比べて賃金が低い
5.会社や部門の業績が公正に配分されていない  
6.評価の理由が十分に説明されていない
7.上司の判断が信用できない    
8.その他(                   )

    

6)人事考課・査定において、経営・上司の意図は伝わってきますか?
(どんな仕事をしてほしいのか、どんな仕事をすれば評価が高くなるのか、どんな仕事をしたから、今回の査定は上がったのか等)
 伝わっている  5  :  4  :  3  :  2 :  1 伝わっていない

    

7)その他、賃金や人事考課制度について感じていることがあれば、お書きください。

    

                                
経営者インタビューによって、
経営者が現時点で要望する人事制度全般の方向性について確認する。
加えて、従業員意識調査によって、従業員はどういう意識を持っていて、どんな方向性を望んでいるかを確認する。

    

ここでは、
経営者と社員の意識の乖離がどの程度であるかを把握することが大切です。
コンサルタントとしては、
依頼主である経営者の意向を最優先したくなるのは当然ですが、
実際の運用において、
その会社の社員の現状と志向からあまりにもかけ離れた制度を導入することは不可能です。

     

具体的にいうと、
現在、新人事制度を検討している経営者のほとんどは、従業員の意識改革と業績主義への移行をもくろんでいるといえます。
しかし、中小企業の多くは(一部IT系等を除き)、
業績主義に一気に衣替えするような土壌にはありません。
昔ながらの人間関係に基づくがちがちの年功主義の組織と社員の会社に、
業績主義を無理やり導入してもうまく運用できるはずがありません。

    

中小企業の組織改革は、オーソドックスに5S運動あたりから始めて、
中途採用で意識的に野心的な血を入れて、
部署を戦略的に組みなおしてと、
大局的かつ極めて慎重に進めるのが得策ではあると思うのですが、
このご時世あまり悠長なことは言っていられません。

    

そこで、私がお薦めしているのは、
賃金制度において年功主義と業績主義を融合させていくことです。
これは、職能資格制度でもある程度可能なことですが、
職能給が年功的な設計になっていることが多いので、
この部分により業績反映の性格を加えていくのです。
(ハイブリッド年功給とハイパー評価給⇒後述します)

    

経営者インタビューおよび社員意識調査の結果は、
この賃金制度における年功と業績評価の配分割合に結びついていきます。
基本的には、経営者の目指す配分での制度設計を進めます。
その際に、組織と社員の意識の程度により、
その舵取りの減速をするといえばわかりやすいでしょうか。
方程式があるわけではないので、このあたりは目分量になります。
コンサルタントの勘と経験しかないでしょう。
私は経験が少ないので、
実際に制度が動き出してから微調整します。
賃金設計の項で詳述します。

    

さて、経営者及び社員のフリーコメントも含めて、
新人事制度の方向性について検討した結果、
提案書(1)を作成します。
ここからは、話を実際のコンサル現場に移して、
A社の事例でお話を進めます。
A社の社長にはご了承をいただいているので守秘義務の問題もなく、
リアリティのあるコンサルストーリーをご提供できると思います。

    

以下、次号。

      

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