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トータル人事制度の導入(5)

20070606

   
【社員データの収集と分析】

   

 制度設計の実作業に入る前に必要な作業として、
社員データの分析がある。
(提案書1に組み込むケースもある)

    
・必要な社員データ類
労働者名簿、賃金台帳、就業規則、氏名入り組織図、
タイムカードもしくは出勤簿の控え(過去6ヶ月程度)、
人事考課記録、人事考課ツール類、給与明細1年分と年末調整の控え、
退職金外部資金準備に関する資料、労働分配率のデータ等を提供してもらう。

    
その他、社員に関する資料・データ類はすべて出してくださいとお願いする。
人事考課の記録など何もないという会社でも、
個人の年頭の目標であるとか、
小集団活動の記録などが埋もれているケースがある。
あまり、古いものは参考にはできないが、
制度設計の方向性を検討する上で、
意外にヒントになるものがあったりする。

    
なお、中小企業では組織図を作っていない場合もあるが、
これは社長に自筆で書いてもらうとよい。
各部署の位置、書く順番、社員のフルネームを覚えているかどうかなどによって、
どの部署や人材を重要視しているか、
または懸案事項があるかなどをうかがい知ることができる。
(直接聞いてもほぼ同じではあるが)

    
次にデータをパソコンに入力する。
自分でエクセルを組んでも十分可能な作業であるが、
私は、安価で便利なので、先輩社労士がネット上で販売していたものを使っている。
社員のデータを入力すると、
年齢別・社歴別・部門別の分布図や賃金額のプロット図などが作成できる。
ここから人員構成と賃金額のバランスが読み取れる。
人員構成については、
人事制度の設計においては等級数の決定等において参考にする程度だが、
今後の組織運営の参考になるデータとして経営者に提供すると喜ばれる。
また、このデータは、後工程で退職金制度の設計を行う際にも利用できる。

    
各分布図、プロット図を概観し、
現時点での問題点・注意点を探る。
つまり、分布から突出した部分や、
プロット点が全体の構造から外れている人の原因を確認する。

  
例えば。
製造部に30歳代の中間管理職がいない。
すると、今後、技術者の育成や抜擢、
もしくは中途採用が必要になるということ。

  
営業部の課長の賃金が突出して高い。
理由は、不足していたポジションなので、
人材紹介会社を通じて高キャリアの人を入社させたからとのこと。
新制度に移行する際に、
この社員には調整が必要になる可能性が高いので、チェックしておく。

  
営業部に48歳の一般社員で、かなり賃金が低い人がいる。
この人は社長の親戚で、あまり仕事はしないので、
待遇も低くていい。
(ただし、クビにはできない。中小にはこんな人がたまにいる)
賃金設計においては、この人のデータは無視する。

  
仕入部の部長の賃金が突出して高い。
勤務時間も長い。もちろん、部長なので時間外の対象ではないが。
理由は、この人がいないと会社が回らないと頼りにされているためとか。
部下は若い係長と一般社員のみ。
一見すばらしい幹部社員かもしれないが、
この人が仕事を抱え込んでしまっているため、
下が育たないのでは? 
業務自体も効率化されていないのでは? 
いずれにしろ、新制度移行時には、何かしらの調整が必要になる。

  
総務部に50代後半の人が複数いる。
数年以内に、退職金資金のニーズが発生するということ。
退職金規程によるシミュレーションを行う。
中退共や生保等の外部準備資金も確認する。
退職金については、後述。
また、継続雇用に関する規定が必要になる。
個別の賃金設計も必要なので、社労士としてはおいしいネタ(!?)

  
次に、賃金のプロット図から、
現在の賃金設計がどの程度年功的なのかを読み取る。
図の形が角度のある右肩上がりで、
ほぼ均等にプロット点が分布していれば、年功的といえる。
どこかの部分がゆがんでいれば、その世代に甘く、
もしくは辛く偏った設計といえる。
もちろん、均等だからよいというわけではなく、
現状の特徴をつかんだ上で、
新制度ではそれをどう変えるか、変えないのかを検討する。

  
現在、新人事制度を検討する経営者のほとんどは、
ある程度、年功序列を脱したいと考えているが、
明確なイメージは持っていないし、
完全な業績主義にするのは無理だろうとも考えている。
そこで、社員の意識調査および現在の賃金規定ならびに実際の賃金額のデータから、
どの程度までの年功序列脱却が可能かを推定し、
賃金設計と組織設計において、
どの程度年功序列的要素を残せばよいかを検討・提案していくことになる。

  

以下、次号。
   

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