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『猫について(3)』

20070725

   

「あら、ネコちゃん。どこかに行っちゃったの?」

   

妻が庭と家の中を行き来している間に、
猫の姿は見えなくなった。
妻はちょっと不満そうに、
背伸びをしたりしゃがんだりして、
しばらく猫の行方を捜していた。

   

一匹の茶トラ猫がやってきて、
いつの間にか姿を消した。
その日の夜、
私と妻はずっと猫のことを話していた。
どこの家の飼い猫だろうか。
オスだろうか、メスだろうか。
何という名前だろうか。
また、やって来るだろうか。
今度は、牛乳以外に何をあげたら、喜ぶだろうか。
二人きりの夕餉の食卓が、途端に華やいだ。

   

猫は翌日もやって来た。
庭から、ざっざっざっと何かを引きずるような音がする。
我が家の庭は公道には面していないので、
見知らぬ人が立ち入ることはない。
昨日の猫が庭の隅で落ち葉をかき集めていた。
どうやら、用を足した後らしい。
今日も、猫は一心不乱に後始末をしている。
「おおい、猫来てるよ」
私はさっそく妻を呼んだ。

   

「ウチの庭がトイレとしてお気に召したようだ」
「じゃあ、毎日来るのかしら」
妻はすでに牛乳を入れた小皿を持ってきていた。
妻が、にゃあんと声をかけると、
猫はもはや馴染みのような調子で、
にゃあんと鳴きながら近寄ってきた。

  

「あはは、また来たよって、言ってるみたいだな」
「ホント。愛想のいい猫ちゃんね」
猫は昨日と同様に身軽な様子で縁台に飛び乗ると、
妻が差し出した小皿の牛乳を飲み始めた。

  

「どこから来たの?」
「お家はあるの?」
「家族はいるの?」
「名前はなんて言うんだい?」
妻が猫の背を撫ぜながら、
いくつも問いかけていたが、
猫は何も答えず、牛乳に夢中になっていた。

  

私は猫の後ろからシッポを持ち上げてみた。
股間には特に目立つものはなかった。
猫を飼ったことがないので、
正確にはわからないが、
どうやら、この猫はメスのようだ。
「オスがよかったのになあ?」
妻はもう飼い主になったかのように言った。

  

牛乳を飲み終えた猫は、
しばらく縁台の上で身づくろいをしていたが、
近くにあった野菜の苗を入れる
プラスチックのカゴの匂いをかぎ始めた。
やがて、その中にそろりそろりと足を踏み入れ、
ゴソゴソゴソと居住まいを正したかと思ったら、
頭を落として、目をつむってしまった。
眠ってしまったのだ。
私たちはその寝姿をこちらからあちらから観察して楽しんでから、
そのままそっと寝かせておいた。

  

日が暮れて、縁台を見ると、
カゴの中から猫の姿は消えていた。

    

以下、次号。
(人事制度の導入は、9月再開予定です)

   

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