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非正規雇用による社会的損失を改めよ

20080813

   

土浦、秋葉原、八王子と容疑者が若者による
凶悪な無差別殺傷事件が相次いだ。
容疑者にはそれぞれの動機があるようだが、
背景には間違いなく、
非正規雇用という理不尽な職業生活を強いられる
若者世代のストレスがある。
多くのマスコミでは、
この背景にあまり切り込もうとせず、
個人の性向や家庭の教育環境等に答えを求めようとしていないか。

   
失われた10年(1990年代)において、
日本経済の減退期と法規制の緩和が進み、
企業は非正規雇用という
口当たりのよい毒薬を経営に組み込んだ。
それは、
専門業務と単純作業のみという当初の規制がはずされると、
急拡大した労働市場として
職業生活の入り口にいた若者を飲み込んでしまったのだ。
これによって、
企業は経営環境の変化による労働者数の調整が可能になり、
雇用にともなう固定費や社会保険料等のコストも削減でき、
理にかなった経営判断といえたかもしれない。
しかし、
非正規雇用の枠に閉じ込められた若者たちは、
世代間の搾取の波に飲み込まれた天災の被害者とも言え、
逃げ出すことができない悲劇の中にいる。

   
そして、
ワーキングプア、ネットカフェ難民と、
彼らの生活面はショッキングに取りざたされることが多いが、
非正規雇用の一般化が会社の現場には何をもたらしたのか?
ここでも表面化するのは、
技術の伝承がままならないなど、
企業側からの不都合のみである。

   
ある程度、
社会経験のある人は思い出してもらいたい。
自分自身が職業生活において、
どのように成長してきたのかを。
多くの人は学生時代まで親の庇護の元、
アルバイトというささやかな社会経験はあるにしろ、
本格的な職業に付くまでは、
社会的には単なる子供だったのではないだろうか。
先輩方への敬意、他人への思いやり、
自分の人生の展望、社会に参画することの責任など、
多くの社会性を自分の職業、
言い換えれば就職した組織の中で、
学んできたはずだ。

   
しかし、
非正規雇用として社会から搾取される若者には、
そんな学びの場が提供されていない。
彼らは人手の調整弁として、
モノ扱いされているのだ。
彼らが長期的にみて社会的に成長しようとしまいと、
組織にとって何のメリットもなければ、
誰も彼らを本気で指導しない。
人間としての成長を願ったりもしない。
そんな場所で、
来る日も来る日も、
食費と宿泊費を得るための作業に明け暮れることを、
職業と呼べるだろうか。

   
筆者は以前、
情報誌の編集者として多くの企業を訪れ、
取材を行った。
ある日の取材で、
職場の雰囲気を伝える写真を撮影するために社員に集合してもらうと、
管理職が一人の社員を制して、
画面からはずさせた。
不審がる筆者にその管理職は、
「彼女は派遣なので、入れないで」と言ったのだ。
なごやかに見えた職場が途端に残酷な荒野のように思えた。
オフィスの隅で撮影のジャマにならないようして、
肩をすくめていた若い女性の姿が忘れられない。
非正規雇用者には、
単純に組織に属する安心感も与えられないのだ。 
自分の人生の多くの時間を費やす職場で、
部外者として阻害され続け、
社会的成長の機会をも奪われているのが
非正規雇用者の当事者としての実態なのだ。

   
企業は社会の公器であるという
使い古された言葉を思い出していただきたい。
われわれの共同体に存在する以上、
企業は一部の人間だけの利益を志向する場所であってはいけない。
後進を指導・育成することは、
企業の最低限の義務であり、
それを放棄した上で、
すさんだ心を持った若者を生み出し続ける企業の経営者は、
最低限のモラルも持ち合わせていないに等しい。
若者の雇用は、
将来の日本の国の形をつかさどる重要な鍵である。
われわれが今やらなければならないことは、
健全な国民を育てるために、
健全な職業生活を送ることができる環境の提供である。
非正規雇用の例外なき規制なくして、
このことは達成できない。

   
自由な働き方を望む人もいるという理論を振りかざす識者も多いが、
それは都合のよい議論のすりかえだ。
自由な働き方を志向する人は、
非正規雇用の規制緩和以前も、
アルバイトという仕事探しにおいては困ってはいなかった。
それに、自由が好きな人はほうっておけばよい。
もう後戻りはできないというのも、
搾取する側の身勝手な論理だ。
抜け道のない派遣全面禁止の法整備をとるしか、
職業生活における世代間搾取と若者の健全な成長を促進する道はなく、
ストレスを抱え続ける若者の凶行が止むことはないだろう。

   

以下、次号。
(猫については、引っ越しました。
http://mukuhiro.sblo.jp/

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